奇病街(キビョウムラ) 6 ~さぁ、賭け事を始めましょう~

奇病街

おやおや?

ご機嫌いかがですか?

どうも、梨くんです。

今回も来てくれたんですね。

さぁ、僕の創造(せかい)へご招待しますよ。

はじめに

奇病街Part6です。前回の作品に訪問してからご覧ください。よろしくお願いいたします。おやおや、早速訪問なさるんですか?もちろん結構ですよ。えぇ。どうぞ、ごゆるりとお楽しみください。それでは、改めまして、ようこそいらっしゃいました。

奇病街(キビョウムラ)Part6

注意 少々グロ注意、常識はずれの設定、語彙力低下、誤字脱字、狂気表現(?)
   このことを事を踏まえた上でご覧ください。

僕は・・・花を吐いた。早すぎる。まだ、感染して数時間しか経ってないのに!?なのに何故!?狼牙さんが三日後だったのに対し、僕は、数時間後だと?ふざけるな!・・・クソッ。神様は最低だ!まぁ、僕の心身が18歳の子供ってのもあるんだろうけど。あぁ、これで僕の命は長くても一週間。さて、どう足掻いて見せようか?僕はこのまま、死神のお迎えを大人しく待っているほど、往生際がいいわけじゃない。

まだ、乾いていない血が付着している自分の手のひらを握りしめる。

さぁ、運命とか言われている誰かさん。僕と、賭け事(ギャンブル)をしよう!せっかく神様が、こんなにも心躍る舞台を用意してくれたんだ!ならば、そこで思う存分舞わせてもらおう!

クツクツと笑いがこみあげてくる。こうなってしまった以上は自分でも何を考えているのか分からない。ここまで、絶望のどん底に叩き落されたんだ。ぶっ壊れるのは当たり前じゃないか。けど、一つだけ分かったことがある。僕が奪わなくちゃいけないカードは運命をねじ伏せるカード、Joker(希望)だってこと。

人という生き物は極限状態に陥ると何を考え、しでかすか分からない。しかし、それが面白いところでもある。さぁ!一心不乱に狂おうじゃないか。人間(ヒト)らしく。

次の日、朝早く鼻歌まじりの、いわゆるご機嫌という状態で身支度をする瞬に違和感を覚えた。

瞬 「僕は、花嘔について調べてきますね♪」

狼牙 「ん?・・・あ・・・あぁ。」(やけに上機嫌だな)

別に上機嫌な事は悪い事じゃない。むしろ、嬉しいことだ。だが、タイミングが怪しい。昨日から様子が可笑しげなんだ。あいつは隠し事は下手だが誤魔化し、欺くのは得意だ。それが、余計に俺の不安を煽る。信じていないわけじゃない。むしろ、その逆だ。俺を安心させてくれ。全て俺の杞憂だったと・・・。

瞬の自室へと足を運ぶ。その途中で良からぬものを見つけた。橙色の花弁・・・。何故・・・こんなところに花が?心の臓がトクトクと早くリズムを刻みだす。俺が吐いたものか?いいや、そんなわけが無い。俺は橙色の花なんて一度も吐いてない。だとしたら・・・。

狼牙 「まさか・・・な。」

最悪の仮定が脳裏に浮かぶ。瞬から出たもの?まさかな。あいつは感染していないと言い張った。しかし、だとすれば、この花弁は一体何なんだ?研究室に花なんて飾った覚えはないぞ?ひとまず、落ち着け。落ち着くんだ。そう、自分に言い聞かせる。ようやく、心が少しだけ落ち着きを取り戻した所で、瞬の部屋へと足を踏み入れた。そして、まず最初にこう思う。なんつー殺風景な部屋なんだ、と。机、椅子、ベッドの他、実験器具が疎らに整頓されているだけで何っっっっの面白みもない!!あぁ、つまんね。何か隠してねぇかな。ベッドの下とか・・・・・。嘘だろ?ホコリひとつありゃしねぇとはどういう事だ?はぁ、あとで散らかしたろ。そんな事を思っていると目の端の方で何かをとらえる。机の上に置いてあったそれは、両手サイズの革手帳でライトブラウンの滑らかな革生地に繊細なデザインが施されている代物だった。相変わらず綺麗でか細い字だな。ハラリと指先で、紙を撫でては次へ、撫でては次へと繰り返していると一番インクの匂いが強いページで手を止める。そこに書いてあった文を読み終えた時には、手帳を手から滑り落としていた。目元が熱を帯び、喉がキリキリと痛んだ。塩気のある液体が視界を滲ませた。だが、しかしソレを零しはしない。ふと、心を決めると同時に引っ込んでいった。むしろ、とめどない怒りが湧いてきた。

狼牙 「あ・・・クソガキがッ・・・!!」

瞬が帰ってくるのを静かに待った。

瞬 「ただいま、狼牙さん♪」

狼牙 「・・・・。」

出ていった時と変わらぬ上機嫌でただいまを告げる瞬。これ程イラついたのは久しぶりなんじゃないか?

瞬 「ん?・・・あれ?狼牙さん?いな・・・居るじゃないですか。もう、どうしたんですか?元気ないです?無視です?体に何か変化でもあったんですか?・・・えぇ?・・・え?本当にどうしたんです?」

次々に質問を投げかけてくるが答えてやる気分じゃない。

狼牙 「あぁ、すまないな。クソガキ。ちょっと来い。」

瞬 「え?・・・ちょっ!?」

急に腰に手が回ってきたと思いきや、スタスタと歩いていく。いつもなら歩調を合わせてくれるのに対して今は少々押され気味だ。

まだ、状況が掴めないであろう瞬を自分の部屋に連れていく。瞬が部屋に入ったのを見届けると少し強い力で背中を押す。

瞬 「うわぁっ!?」

驚いた声を上げ、床に倒れる。目の端でその様子を捉えながらガチャガチャと音を立てて鍵を掛けた。さぁ、何と言い訳をするつもりなんだろうな?

瞬 「狼牙さん?何するんですか!?・・・僕、何か狼牙さんに悪いことしました?」

狼牙 「まぁな。さて、いつまで床に這いつくばっているつもりだ?座れ。」

何だろう?狼牙さんの様子がおかしい。花嘔のせい?何で急に乱暴に?名前ではなくクソガキと呼ばれているし、あきらかに不機嫌だ。何か怒らせるようなことをしたのだろうか?身に覚えがない。怖い。狼牙さんの目が怖い。殺されちゃう?嘘でしょう?まだ、神様との賭け事の途中なのに・・?本当に狼牙さんどうしちゃったんですか?とりあえず、これ以外怒らせないように言うとおり、床に正座する。冷たい視線が向けられているのが分かる。その視線に耐えられるほど僕は怖いもの知らずではないので、俯いてしまう。頭上から氷のようにいや、それよりも冷たい声が降ってきた。

狼牙 「おい。クソガキ。何を俯いている?俺を見ろ。」

瞬 「ヒェッ。」

ぬわぁ゛ぁ゛あぁ゛ッ!!!!!!!!ヤッバイ!!コッワ!?目が目がッ!!怖い怖い。いつもは何の曇りも無い筈の檸檬クォーツの瞳の色彩部分には若干の紅が混ざっている。深紅と檸檬クォーツが混じったソレは月光の反射を受け、これまでとは違った美しさを秘めていた。な・ん・て そんな悠長に語っている場合では無いわッ!!!!!!

瞬 「あ、あの・・・狼牙さ・・・ケホッ!」(しまっ!!!)

狼牙 「!?」

あ・・・。咳をしてしまった。何て悪いタイミング。

狼牙 「いいか?俺の質問に正直に答えろ。クソガキ。お前・・・感染したな?」

瞬 「な、何のことですか?」

声が震えない様に気を付ける。そっと、狼牙さんから目を逸らす。

狼牙 「チツ。目を逸らすな。お前は俺の質問に”正直”に答えるだけで良い。もう一度聞くぞ。瞬・・・お前・・・感染したな?」

寒気がする。もう一度・・・つまり次は無いという事だろう。貴方の口からは言われたくはなかった。だって、貴方の質問に答えてしまえば認めざるをおえなくなる。僕は感染者だと。分かり切ってる。でも信じたくはない。

狼牙 「か、感染なんてしてませんよ!マスクをしていたんですから!何です!?証拠でもあるんですか!?」

はぁはぁはぁ・・・。声を張り上げてしまった。苦しい。かすれた喉・・・パサついた声・・・ズキズキと痛む肺。心・・・。全部が痛い。

狼牙 「そうだな。コレなんか・・・証拠になるんじゃないか?ん?」

そう言って、目の前に出されたものは僕の手帳。それを見た瞬間息が止まるかと思った。沈黙が続く中、僕の鼓動だけが早くなる。もう、言い逃れは出来ない。

瞬間 「あ・・・。」

ようやく、かすれた喉の奥底から声を絞り出した。

狼牙 「なんだ?何か言い返すのか?出来るものならやってみろ。」

何も言い返せない。目の前で完璧なな証拠を突き出されて言い返す方が馬鹿だろう。逃げなきゃ・・・。自分でも何故その考えが浮かんできたかは分からないが今は、その考えに従うとしよう。

狼牙 「何も言い返さないんだな?じゃあ、お前は感染したという事になるが・・・異論はないな?」

瞬 「は・・・・・い・・・・。ごめ・・・・ん・・・なさい。」

つらり・・・と頬に生暖かいものが伝った。その後、小さく笑い、狼牙さんを思いっきり突き飛ばす。ドアには鍵がかかっているから無理。なら、窓しかない。窓を開け、そこからヒラリと飛び降りる。怪我を覚悟したが運がいいことに木が僕を受け止めてくれた。今は、狼牙さんに捕まってはいけない。隠し事がバレたうえに、突き飛ばしてしまったんだ。相当お怒りだ。

狼牙 「チッ。」

舌打ち。イライラのパラメーターがマックスになろうとしている。何で逃げた?そこまでして、俺の世話になるのが嫌か?変な時にプライドが高いやつだな。自分には時間が無いってのにそれを俺との鬼ごっこに使うとは・・・。いいだろう。後悔させてやる。

瞬 「あぁ、どうしよう?どうしよう!?」

真っ暗な森を当てもなく進んでいく。あぁ、なんて事だ。寒い。まだ、冬が明けてから間もないってのに飛び出してしまうとは!!二分前の自分の判断にケチをつけたいくらいだ!!全くこんなにも使えない頭だったとは自分でも驚いている。何より追手が狼牙さんだなんて(しかもブチギレ)地獄へのルートまっしぐらじゃないか!?でも・・・それでも僕は貴方に迷惑は掛けられない。同じ病気になったから分かるけど、これは相当辛い。苦しい。痛い。こんなの人を気にかけている余裕なんかは無い。だけど、あの人は必ず僕を優先する。それこそ・・・自分の苦しみなんてそっちのけで僕を優先するだろう。そんなこと僕のプライドと良心が許しはしない。ふざけるな!僕をいつまでも子ども扱いだなんて!!18ッ歳だけど!!460歳には適わないけれど!いいや、そんなことを考えている場合ではない!とりあえず暖を取りたい。焚火でもおこそうか・・・。ここまで休まず走ってきた・・・・大丈夫。まだ、時間はある。あぁ、お腹すいたなぁ。コソコソと動き、焚火をおこす。ゆらゆらと揺れる淡い炎を見つめながらズキズキと痛む肺を見て見ぬふりし、横になる。あぁ、寒い。凍えそうだ・・・。こんな時、貴方のモフモフなしっぽが恋しいです・・・。ゆっくりと目を閉じた。パチパチと薪の爆ぜる音を子守唄に・・・。

何処に逃げやがったのか・・・。一向に見つからない。ご丁寧に痕跡を消している・・・。けど、匂いまでは・・・・あぁ、駄目だこりゃ。獣臭い。森の動物の匂いがあちこちから・・・。しかも今夜はとても寒い。寒がりのアイツは今頃凍えているだろう・・・。あぁ、今、獣に襲われたらアイツは間違いなくあの世行きだ。しかも絶対腹がすいている!!クソッ!捕まえたらスパゲッティを作ってやるからなっ!!ただし、お前の嫌いな茹でエビをたっっっぷり入れてやる!覚悟しておけ!!

イライラしながら微かに人の匂いがする所を探す。ふと、煙の匂いがしたので急いで向かった。すると、どうだろう・・・?18歳のチビが呑気に寝ているではないか!!しかも焚火と言うには程遠い小さな炎の近くで・・・。よく見ると小さく震えている・・・・はぁ・・・・。

寒くて寝れたもんじゃない・・・。ただ、目を瞑っているだけだ。いやぁ・・・それにしても・・・寒い。はぁ。このまま体温が下がって死んでしまっては笑えないなぁ・・・。

その時、背中がふと、温かくなった。何で・・・?まぁ・・・いいや・・・。なんだか・・・とっても安心する・・・。眠気もすごい。このまま寝てしまおう。でも、何だろう?目の前にふわふわしたものが・・・。あぁ・・・ねむ・・・い・・・。

狼牙 「Caught.」 捕まえた

                               次回へ続く

あとがき

いかがでしたでしょうか?楽しめましたでしょうか?瞬くんが、少々狂い気味です・・・。いやぁ、人間って面白いですよねぇ・・・。なんやかんや言って二人とも仲がよろしくて・・・。この続きはまた次回ですね。次回もごゆるりとお楽しみください。ここまでご覧いただきありがとうございました。どうか貴方様に幸福がありますように。それでは、ご機嫌よう!

コメント

  1. 堀菜々子 より:

    こんにちは!塾で、小説の事を教えてもらった先生です!最後に挨拶ができなかったのは、残念だったんだけど、お話できたのすごく楽しかったです!
    今は、マレーシアにいます^ ^
    また、ちょくちょく小説読ませてもらいます!好きな事を自分でやってるのは最高にかっこいい!
    受験も頑張ってね👍

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